身体のサイズが大きい関係で、気に入ったアンティークの銘仙が着られなくて何度も涙した私も、最近やっと銘仙を手に入れました。銘仙の主要産地だった伊勢崎の織物組合が昭和60年頃に行われたイベントのために、昭和30年代の伊勢崎銘仙全盛期の技法を可能な限り復元して織った復刻品です。
一つは、薄い茶色の地に藍色の平行四辺形が連なった銘仙の柄としては極めてシンプルで地味なもので、「絣銘仙」の部類に入るのかなと思います。肌触りは、きわめて平滑でやや光沢があり、相当に目の詰んだ平織であることがわかります。
もう一点は、黒地に濃淡のある銀鼠色の直線で卍崩しの模様を描いたもので典型的なアールデコ様式です。直線の交点が白で抜けていて、さらによく見ると、経糸だけではなく、緯糸にも針のように細い糸のずれが出ていて、伊勢崎が得意とした精巧な「緯経絣」であることがわかります。
|