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目  次
1. はじめに&12月12日(出発)
2. 12月13日(シンポジウム)
3. 12月14日(公開座談会)
4. 12月15日(台北市内見学)&12月16日(帰国)
5. 旧「春鳳楼茶館」・旧娼館地区(帰綏街)見学記
◇ 12月14日(日) −公開座談会−
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7時に起床して身支度。今日はお気に入りの卍崩しの伊勢崎銘仙。台北はこの数日急に気温が下がり、12月には珍しい「寒波」のようで、念のため持ってきた袷の出番になりました。
 
9時にレストランに行ってみたけど、関係者の姿はなく、昨夜遅かったせいで、さすがに皆さん朝寝坊のよう。それでも食べている間に、性/別研究室の先生方が入ってきて、食べ終わるころには、レスリーさんも現れました。レスリーさんの旺盛な食欲には感心。 肝心のホー先生のお支度が遅れてるようなので、ロビーでしばらく待機。柱の影のソファーで30分ほど居眠り。それでもまだ時間が余ったので、ホテルの中庭を散歩。奥庭の方の植栽は熱帯の植物で、あらためてここが亜熱帯の地であることに気づきました。
 
ホテルの中庭で、レスリーさん、ミミーさんと写真撮影。言葉はほとんど通じてないのですが、お二人の仲の良さと、レスリーさんのジェントルマンぶりが印象的でした。
 
朝、ホテルの中庭で 植栽はやっぱり亜熱帯 レスリーさん、ミミーさんと

朝、ホテルの中庭で

植栽はやっぱり亜熱帯

レスリーさん、ミミーさんと

 
11時を過ぎてやっと出発。信義路二段の小龍包の名店「鼎泰豊」へ。さすがに人気のお店だけあって、メニューが豊富でおいしかったです。ただ、朝食からあまり時間がたってなかったのが残念でした。
 
蒸しせいろがたくさん重ねられている「鼎泰豊」の店先 永康街で

「鼎泰豊」の店先

永康街で


昼食後、お腹ごなしと時間調整を兼ねて永康街を散策。ブテックや骨董品店が列なる閑静な商店街で、東京にたとえると表参道といった感じでしょうか。あるお店で、緑と黄色のぼかしのシルクのスカーフをみつけ、長さ的に帯揚げとして使えそうだったので、購入しようとしたら、ホー先生がプレゼントしてくださいました(ありがとうございました。帯揚として使ってます)。
 
永康街で30分ほど遊んで、タクシーに分乗して「Leslie Feinberg 『藍調石牆T』出版記念座談会&サイン会」の会場である敦化南路一段の「誠品書店敦南店」へ。この書店、台湾最大規模というだけあって立派な造りでロビーも広く、座談会の会場はそのロビーに設置されていました。
  
公開座談会は『藍調石牆T』の著者であるレスリーさんがメインなので、私は熱心な聴衆の皆さんや本を買いに来て足を止める人、単なる野次馬などを観察しながら、のんびりしていました。ところが、座談会の後半に、ご挨拶を兼ねて短いスピーチをしたら、質問が次々に集まってきました。例えば「日本では、性別の移行過程で、医師が強い決定権をもっているようですが、それは、当事者の自己決定という観点から問題なのではないでしょうか?」など、すぐに返答するのがむずかしいような本質的な質問もありました。
 
以下、
ここにそのスピーチと質疑応答の内容まとめてあります。
 
誠品書店敦南店の前で ポスターの前で 公開座談会。左は通訳の陳采瑛さん

誠品書店敦南店の前

ポスターの前で

公開座談会。左は通訳の方

 
熱心な聴衆と見物の人たち

「熱心な聴衆と見物の人たち」

通訳を介してのやりとりですが、昨日の大学でのシンポジウムと今日の座談会を通じて得た知識として、どうやらアメリカでも台湾でも、当事者が自分でアイデンティティとして名乗るのは、トランスジェンダー、もしくはトランスセクジュアルであって、性同一性障害(GID)という精神疾患の概念をアイデンティティとする人はほとんどいないようです。つまり、「世界標準」からしても、性同一性障害という精神疾患の概念が社会的に幅を利かす日本の状況は、かなり特異であることがわかりました。
  
16時に公開座談会が終了。レスリーさんのサイン会の間、陳さんの案内で書店内で開かれている「跨性別ブックフェアー」を見学しました。10冊ほどの関係書を並べた小さなブックフェアーでしたけど、台湾では初めての試みだそうです。
 
跨性別ブックフェアーの垂れ幕 並べられた書籍

跨性別フェアー垂れ幕

並べられた書籍

日本の虎井まさ衛さんの『女から男になったワタシ』の中文訳『由女變男的我』と、アメリカの男装の音楽演奏家ビリー・ティプトンの伝記『男扮終生』(Diane Wood Middlebrook『Suits Me:The Double Life of Billy Tipton』日本未訳)を購入。全体的にFTMの伝記類が目立ち、MTF系はほとんどありませんでした。こうした出版状況からして、どうも台湾では、MTFよりもFTM(レズビアンも含む)の方に社会的関心(許容度?)が高いように思われます。
  
「国賓大飯店」のロビーで

「国賓大飯店」で

夕食は、中山北路二段の「国賓大飯店」の中にある四川料理の「川菜館」へ。さすがに一流ホテルのレストランだけあっておいしかったのですが、後の予定が詰まっていてゆっくり味わえなかったのが残念でした。
   
食事もそこそこに、タクシーで今夜のメインイベント「彩虹霞光晩会(TG Twilight Party)」へ。台湾のセクシュアル・マイノリティの人たちが、私たちのために台湾初のトランスジェンダー・パーティを開いてくれたのです。
 
会場は台北駅近く(博愛路)の古いビルの地下にあるレズビアン・パブ「BON」。今日はトランスの人たちの貸し切りで、MTFの人とFTMの人が協力して、短い時間でがんばって練習したダンスや寸劇など、いろいろなパフォーマンスを披露してくれました。トイレ問題を扱った寸劇では、やっぱり問題はどこの国も同じなんだなぁと思いました。
 
私は、本質的に芸無しなので「お返し」に困ったのですが、台湾では最も有名な歌手だったテレサ・テンの「時の流れに身をまかせ」を唄いました。選曲が良かったせいか、思いがけず会場の人たちに大喝采していただけて、うれしかったです。
 
ともかく楽しい集まりでした。その日はパーティだったということもありますけど、きまじめだけど重苦しい日本のGIDの集会とはずいぶん違う雰囲気でした。それと、MTFとFTM、さらにレズビアンなど、各カテゴリーの距離が近いのがとても印象的でした。ふだんからFTMはもちろん、MTFたちもレズビアンバーに遊びに来てて、「仲いいんだよ」って言っていました。異なったカテゴリーの人たちが協力して社会的な運動をする下地が、しっかりできているのです。それだけでなく、会場にはセックスワーカー支援運動の方たちもいらしてて、台湾における性的マイノリティの「連帯」の幅広さを感じました。
 
会場入口 中国歌劇を熱演するホー先生(左) MTFダンサーズ

会場入口

中国歌劇を熱演ホー先生(左)

MTFダンサーズ

 
「時の流れに身をまかせ」を唄う私 MTFダンサーズ  トイレ問題をテーマにした寸劇

唄う私

MTFダンサーズ

トイレ問題をテーマにした寸劇


長谷川和美さんのDrag King のパフォーマンス ダンサーのお嬢さんと セックスワーカー支援運動の方たちと

長谷川和美さん

ダンサーのお嬢さんと

セックスワーカー支援運動の方達と

  
パーティがお開きになったのは22時30分。今日もスケジュールびっしりの一日で、さすがに疲れてしまい、夜遊びをせずに、陳さんと一緒に宿泊先の福華国際文教会館へ直行しました。それでも、シャワーを浴びて、着物の世話をしてベッドに入ったのは、1時でした。