今回シンポジウムのメインゲストは、アメリカのFTM作家のレスリー・ファインバーグ(Leslie
Feinberg)さんと、そのパートナーで詩人のミニー・プラット(Minnie Bruce Pratt)さん。日本から私がサブゲストという形で参加し、シンポジウムの主催者であり台湾におけるジェンダー/セクシュアリティ研究の第一人者ジョセフィン・ホー(Dr.josephine
Ho)中央大学教授をはじめ台湾の研究者と意見交換をしてきました。
ホー先生は、2003年4月から9月までお茶の水女子大学のジェンダー研究センターに客員教授として在任され,その間に「東アジアにおけるジェンダー/セクシュアリティ理論と政治の諸課題」と題する5回の連続講座を主催されました。その最後回(7月4日)のテーマが「アイデンティティと身体化−トランスジェンダーを構築する−」という台湾のトランスジェンダーを取り上げたものでした。その講義のコメンテーターとして私を呼んでいただいたのが、先生との最初のご縁でした。
私は勉強のために5回の講義すべてを聴講したのですが、ホー先生は先鋭的な理論家であるだけでなく、現実の社会を重視する社会運動家の側面も強い方だなという印象をもちました。そこで、講座が終わったあと、日本のセクシュアリティの現場である「新宿をご案内しましょうか」とお誘いしたら、「ぜひぜひお願いします」ということになりました。 8月2日の土曜日の夜,新宿二丁目のゲイタウン、青線(非合法売春地区)時代の建物が残るゴールデン街・花園地区、そしてヘテロセクシュアリティの風俗店が連なる歌舞伎町をご案内して、最後に私のベースである区役所通りの女装スナック「ジュネ」にお連れしました。ホー先生とパートナーのカール先生(Dr.Karl
Yin-Bin Ning)は「とても刺激的な夜だった」と喜んでくださいました。
そこまでのご縁のつもりだったのが、ホー先生が帰国された9月末になってお茶の水女子大経由で招請状をいただきました。台湾で毎年小さな国際シンポを主催しているが、今年はトランスジェンダーをテーマにする、ついては日本の現状を話してくれないかという趣旨でした。正直なところ、英語も中国語もほとんどできないので迷いましたが、通訳などできるだけの対応をするというお話なのでお引き受けしました。
ということで、4泊5日、実質は中3日というあわただしい日程でしたけども、現地のセクシュアル・マイノリティの人たちとも交流することができ、たいへん有意義な日々でした。
お招きいただいたホー教授、カール教授はじめ、お世話いただいた性/別研究室の先生方、そして通訳をつとめてくださった陳采瑛さん、日本から同行してくださったお茶の水女子大学の長谷川和美さんに心から御礼申し上げます。
|