【第9回】
順子のイカセ方?
1996. 09
7月の連休に、仲間9人と南三陸の気仙沼へフカヒレや生うにを食べに行ってきまし
た。その帰り道、JR気仙沼線の一車両を独占使用していた(なんでだか後から乗っ
てくる人たち、みんな逃げちゃうのよね)あたしたちの間で、こんな会話が交わされま
した。
「ねぇ、なんであたしたち女装を続けてるんだろうねぇ」。
仲間の意見を整理すると、(1)あたしは
女性だから(になりたい)、(2)ナルシス
トだから(きれいなもの、美しいものとし
ての女性に同化したい)。そこにいた仲
間にはいなかったけど、(3)男性が好き
だから(男性に女として見られたい)、
(4)女性の衣服に性的な興奮を覚える
から(フェティシズム)なんていう意見も
あるでしょう。女装を続ける理由は、ほ
んとうにその人その人さまざまだし、理
由の数だけ女装者のタイプが
あって、この世界ってけっこう複雑なん
です。
(4)のタイプの人はだいたいお部屋の中
で完結しちゃうから、あまり外には出て
来ません。(1)(3)とは「あたしは女の子」
で「男が好き」って感じで似てるような気
もするけど、最近の若い「娘」たち(こうい
う言い方、自分が年寄だって認てるわけ
だからイヤなんだけど)には、「あたしは
女の子」だけど「男はとりわけ好きじゃな
い」っていうノンセクシャルなタイプも増え
てるみたいですね。
そんでもってあたしは典型的な(2)のタイ
プ。ナルシストの「三種の神器」は鏡・写
「この写真、男性客の一番人気です」
真 ・他人の視線ですから、外出時には見られたい、見られている自分を実感した
いっていう欲求がすごく強くて、口に出さなくてもいつも「ねぇ、あたしを見て見てぇ」
って思ってます。だから、ファッションも派手「人目引かなくちゃ女装する意味ないも
んね」があたしのコンセプト。
男性がこのタイプの「娘」と仲良くなろうと思ったら、なにはさておき「よいしょ」が一
番。「いやぁ、すてきなファッションですね。もうみんなの視線集中ですよ」なんてお
だてれば、「え〜っ、うれしいなぁ(スリスリ)。順子、サービスしちゃおうかなぁ」。間
違っても「いいかげん年なんだから、もっと地見目のファッションにしなよ」なんて言
ってはいけません。「地獄に落ちな」って感じの視線が返ってきますから。
仲良くなってホテルで・・・、ということになったら、このタイプの「三種の神器」を思い
出しましょう。まずたっぷり視線を浴びせることです。そして見られていることを言葉
でちゃんと伝えましょう。ねっとりした視線で全身をなめまわされながら「ほら、順子
、いやらしい身体が丸見えだよ」なんて言われると、あたし、もうお露がじくじく……。
頃合を見て洗面所の大きな鏡の前に連れていって、セクシーな黒のランジェリーを
まといあそこの1箇所のほかは見事に女性化した身体を男に弄ばれてる姿をたっぷ
り鏡に映してあげましょう。もう、あたしお露が糸を引いて床に垂れちゃうよぉ。最後
の仕上げは、白桃のようなヒップをぐいと突き出させて立位のまま後ろからたくまし
いものを、よ〜くほぐしたあそこにずぶずぶと沈めてながら、「ほら、よく見てごらん。
恥ずかしい身体の女の子が犯されてよがってるよ!」なんて耳元でささやかれたら
、あ〜ん、あたし、 もう自己陶酔の極致!「だめ〜ぇ、いっちゃう〜ぅ、順子いく〜〜
〜っ!(どびゅっ)」。
あれ? おかしいなぁ。「女装娘のタイプ論」のはずだったのに、いつの間にか「順子
のイカセ方」になっちゃってるぅ。