【第6回】ロスト・ヴァージンの思い出 1996. 03

 【質問】前号のこのコーナーの文中の「Hセット」って何のことですか?
 【答】お答えします。え〜と、あたしが男性とHするときに持って行く小物袋のことで
    す。何が入っているかというと、
   
     (1)コンドーム(必携)
     (2)潤滑剤(必需)
     (3)ガーターベルトと黒のバックシームのストッキング、それにお揃いのHっぽ
       いショーツ(3と4で娼婦スタイルに変身) 
     (4)ウェット・ティッシュ(野外プレイの後始末に便利)
     (5)お口くちゅくちゅモンダミン(おフェラの後もお口すっきり)
  
 以上5種7点セットのことです。
   
 「あの〜、そろそろHっぽいお話をお願いしたいのですが…」
と編集長に言われても、あたしってけっこう照れ屋なのです。現在のHなお話は恥ず
かしくてできないので、昔話をすることにしましょう。
   
 という訳で、あたしがロストヴァージンしたのは、忘れもしない1992年9月25日。
場所は新宿5丁目の「ホテルリステル」の2417号室。
本格的に女装し始めて2年と数カ月目のことでした。
それまで全然男性とHする気がなかったあたしが、なぜその気になったかというと、
ちょっと訳有りだったのです。
   
 その頃、あたしは女装写真コンテストに熱中していました。目標はもちろんグランプ
リ(日本一)。
ところがなかなかうまくいきません。
準グランプリまでは手が届いても後一歩が足りないのです。
悩んでいる時にある方にこんなことを言われたんです。
「形ばっかりで男を知らないから、内から出てくるほんとの色気がない。だから駄目な
んだ」って。
涙がポロポロ出るほど悔しくて、じゃあ一度経験してみようか、って決心しました。
すごく不純な動機でしょう。
  
 ちょうどその頃、女装雑誌の文通欄を通じて交際希望のお手紙をいただいたのがR
さんでした。
一流企業のエリートビジネスマンで同封されていた写真を見るとけっこうハンサムだし
人柄もよさそうだったし、あたしのような「贋娘」との交際経験も30歳という年齢の割り
には豊富だったし、今から思うと初体験のお相手としては理想的な方でした。
  
 ホテルで支度をして待ってると彼が迎えにきてくれて、レストランで食事をして、ジャ
ズバーで軽くお酒を飲んで、お部屋に戻るという普通のデートコースでしたけど、そう
やって普通の女の子と同じに扱ってくれるのがとってもうれしかったです。


   
 初めての時の感想は、ともかく痛かったっ
てこと。
彼がずいぶん丁寧に指でほぐしてくれたの
だけど、彼のもの(後から思うに長さ標準、
太さやや太め)がバックから入ってきた時は
息が止まるくらい痛かったのです。
「だめ、そのまま動かないで」と叫ぶのがや
っと。
脚がつる時の激痛ってあるでしょう。あれと
同じ。
つる時は筋肉が過度に収縮する痛みだけど
こっちは無理に伸ばされる痛みで、方向は
逆だけど痛みの性格は似てると思うな。
「大丈夫、動いてぇ」とやっと言えたのは、数
分後のことでした。 

 初体験を終えて彼の腕を枕に横になった
時はとっても幸せな気分でした。
そして明け方にもう一度。
その時にはもう気持ちよかったから素質あっ
たのでしょうね。
朝、出勤する彼をドアまで送った後、化粧の
崩れが気になって鏡をのぞきこんだ時、あたしの体内に注がれていた彼のものがツー
っと内腿を伝って流れて行きました。
「女」になったことを実感した朝でした。