秋は、私にとっての旅行のシーズン。といっても、貧乏暇なしの私ですから長期の海外旅行などは望むべくもなく、せいぜい2〜3泊の国内旅行を二度するだけなのですが。一度は10月下旬から11月上旬にかけて、奈良国立博物館の正倉院展を見に関西方面への一人旅(というか出張)。もう一度は、その前後に友人たちとの温泉旅行というのが通例になっています。
今年は、10月26日に大阪外国語大学の研究会で講演を依頼されたので、それに合わせて大阪に3泊して、あちこちを見てきました。そこでちょっと「日記」風にまとめてみました。
◇ 10月24日(火)
着物は黒地に赤で菊を織り出した銘仙。朝の新幹線で大阪へ。大阪での定宿、堂山の東急インにチェックインした後、「大阪人権博物館」(浪速区浪速西)へ。日本初という「性的少数者」の展示を見学。「差別を受けている人の主張と活動」というコーナーの一部で、在日外国人、沖縄の人、アイヌ民族、女性、障害者、ハンセン病回復者、HIV感染者・AIDS患者、ホームレス、被差別部落の人、公害被害者、水俣病患者などと同列に「性的少数者」が並んでいます。
う〜ん、私たちってそんなたいそうな存在なのでしょうか? 私なんて「ただの着物お
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通天閣をバックに
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ばちゃん」のつもりなのだけど・・・・。なんかしっくりこない感じ。友人・知人たちの写真が博物館に展示されているのを見るのも、ちょっと奇妙な気分。それに「性を表現する」と題して「性的少数者」の演劇活動を紹介しているのに、地元の「ナニワのニューハーフ」の活動についてはまったく無視。それはまずいでしょう。
JR環状線で新今宮駅へ移動。徒歩で「飛田新地」へ。小さな家の上がり框にライトアップされたお姉さんが一人ずつ座っています。その脇に「遣り手」のおばさん。どんなお商売をしているかは一目瞭然。噂には聞いていたけども、あまりにあからさまでびっくり。東京だったらたちまち摘発確実。大阪って不思議な街ですねぇ。
新今宮駅の駅で着物友達の女性(かわいい)と待ち合わせ。阪堺電車に乗って初めての通天閣へ。大阪の中流家庭では「女の子は行ってはいけません」と言われるという怪しい街「新世界」を二人で散策。とてもレトロな洋食屋さんで夕食。難波まで歩いてお茶して着物談義。
彼女と別れて、堂山の「贋作淑女」へ。北野洋子ママと来年の10周年の打ち合わせ。
◇ 10月25日(水)
今日は、お気に入りの黄八丈。難波から近鉄に乗っ
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奈良国立博物館で
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て奈良へ。行基像の前で、奈良女子大学の大学院生(美人)と待ち合わせ。柿の葉寿司の老舗「平宗」で昼食。大学に戻る彼女といったん分かれて、興福寺の特別公開を見た後、夕方まで奈良国立博物館の「正倉院展」をじっくり見学。いろいろお勉強。
夜、美人大学院生と再会。その後輩の稚児の研究をしている院生、さらに彼女たちの師匠である奈良博の偉い先生の4人で「萬玉楼」という旧妓楼の料理屋で会食。怪しい話がいろいろ盛りだくさん。
最終電車で大阪に戻り、ホテルの部屋にマッサージさんをお願い。揉んでもらった後、「お姐さん、いい身体してますね」と言われる(シクシク)。
◇ 10月26日(木)
お仕事なので、藤紫の江戸小紋合わせの訪問着。箕面の山奥にある大阪外国語大学へ。60人ほ
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武田佐知子教授と
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どの教員&学生の前で「異性装と身体意識−女装と女体化の間−」という題の講演。演壇に立っただけで、すでに何人かの学生がドン引き状態。ディープな話になると、純真そうな女子大生の顔が引きつるのがわかります。手加減しながら一時間半ほどしゃべった後の質疑応答で「あの〜ぉ、男の体でどうやって男の人と(セックス)できるのですか?」
という超初歩的な質問。こういうことって正面きって聞かれると、返答するのに赤面。
この講演、私の男時代をよく知っている武田佐知子教授からの依頼。引き受ければ自動的にカミングアウトになるのでかなり迷いました。でも武田先生は男装史の研究、私は女装史の研究、異性装史の専門研究者は日本に2人しかいないのだから、いつまでも逃げていられません。覚悟を決めてお引き受けしました。
不思議なもので、女−男だった頃よりも、女−「女」になった今の方がずっとずっと親しくお話できて、お引き受けしてよかったとつくづく思います。
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「贋作淑女」の(名誉)大ママ
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千里中央での懇親会の後、タクシーで梅田へ。夜の堂山の繁華街「阪急東通り商店街」を武田先生といっしょに歩きました。つい半年前まで、こんな日が来るなんて夢にも思わなかったこと。なんだかとてもうれしくなりました。
まず外語大の現役学生がママをしているレズビアンバーへ。その後、私が(名誉)大ママを務める「贋作淑女」へ。カウンターで1人で飲んでいた「お姐さま」が偶然にも外語大OBとわかって一同びっくり。
まあ、こんな感じの3日間でした。友人との秋の温泉旅行は山陰の城崎温泉。またご報告しますね。
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