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【第46回】飛騨高山のアンビリーバブル |
2005. 2
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秋の信濃〜飛騨路に旅に出ました。黒地に赤で大きな菊の模様を織り出した足利銘仙に銀と黒の鱗(三角模様)の帯という出で立ちで、新幹線で長野へ。そして、りんごが赤く色づく千曲川の平野をローカル私鉄(長野電鉄)に揺られて信州中野の里へ。知人の染織家Tさんの工房を訪ねるためです。
湯田中温泉の料理旅館で山の幸・海の幸をごちそうになった後、Tさんの工房で見事な茜染を拝見しながら、着物・染色談義を楽しみました。ここまでは、着物好きのおばちゃんの一人旅。
翌日のお昼前、松本駅の待ち合わせ場所に座っていると、どことなく微妙に怪しい
まいそうになります。
3日目、幸い雨は上がり、バスで高山の街へ。屋台会館で小京都の華麗な文化を愛で、古い町並みに時の移ろいを感じ、お昼には飛騨蕎麦を肴に地酒を冷やで一杯。すっかりまったりムードで、名物のみたらし団子を立ち食いしたり、お土産物などを見つくろっていた時でした。午後1時53分、一足早く帰路についた仲間から緊急メールが入りました。
「皆さんの前方200メートルに留美子先生発見!」
我が目を疑いました。まったく思いがけない事態、しかも接近遭遇です。まったりムードなど一気に吹き飛び全員スクランブル態勢に。心を落ち着かせ「可能な限り追尾して、再捕捉したら直ちに撃墜、じゃなかった連絡してください」と返信。
本誌おなじみ宮崎留美子先生は、トランス世界で知らない人はいない超有名人。お尻が見えそうな(見える)超マイクロミニで新宿の街を闊歩する勇姿は、ホームレスのおじさんがその神々しい後姿に合掌するという噂ですし、インターネット上に
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はお名前を冠した掲示板がいくつも立ち、ご本人らしき人も含めて日夜大量の書き込みがされているほどです。その先生が、なぜ高山に・・・・。「今日は、ハローウィンだからかな?」誰かが言いました。
実は、先生と同じ職業の人が、仲間に2人いたせいで、旅行中のおしゃべりでも何かと話題になっていたのです。「あんなに大胆に行動して教育委員会とか大丈夫なんでしょうかね」とか「なんでスカート、いつもあんなに短いんでしょうね」とか。
結局、15分後、私たちは高山駅前で、ついに留美子先生との最終コンタクトに成功しました。2年振りの再会のご挨拶をする私の側で、先生と初対面の3人のメンバーは、落ち着いた高山の街の風情とは正反対の先生の迫力万点のお姿に気押されたのか、まるで石になったように固まっていました。
一番若いMちゃんの感想。
「いや〜ぁ、噂には聞いてましたけど、や |
「高山駅前で、とても珍しいツーショット」
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っぱり本物はすごいですねぇ。コワイ、じゃなかった恐れ多いから遠くから観察してたんですけど、まっすぐ歩いてきた一般の通行人が、先生の手前3メートルくらいでググッと外に曲がっていくんですよね。まるでそこだけ空間が歪んでるみたいでしたよ」
たしかに、留美子先生、ますます存在感を増しているような・・・・。そこに存在するだけで、周囲の空気を変えてしまう力(オーラ)をもった女装者としては、私の友人のキャンディ・ミルキィさんが有名ですが、もしかすると先生のパワーはそれ以上かもしれません。
お陰様で、帰路の高山線の長い車中も退屈しないで済みました。「留美子先生の目の周り、すごいメタリック光沢でしたね」「よほど上等なカーワックスで磨いてらっしゃるのでしょうね」とか・・・・。
ともかく、世の中にはこんな偶然があるんだということを改めて思い知らされ、まったりからアンビリーバブルへ、一生、忘れられない旅の思い出になりました。
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前号で話題にしましたカルーセル麻紀さんの戸籍の性別変更、9月末に認められました。心からお祝い申し上げるとともに、これでニューハーフの方たちにも、所定の書類され整えれば、性別変更の道が開かれたわけで、その意味は大きいと思います。 |
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