【第39回】初冬のみちのく花巻温泉旅行

2003. 05

2002年11月30日〜12月1日、フェイクレディの仲間たち6人で、東北岩手県の花巻に行ってきました。花巻と言えば、童話作家宮沢賢治の故郷、私たちも賢治の足跡を訪ねる旅に出かけました。
 
まず、賢治とその作品の資料が展示されている記念館へ。賢治の『風の又三郎』
『注文の多い料理店』などを亡き母が買ってくれたのは小学校3年くらいだったと思います。特に『銀河鉄道の夜』は、天文少年だった私の夢を育んだ愛読書でした。星空の中を進む列車を描いたステンドグラスを見ながら、懐かしい気持ちで胸が一杯になりました。
 
次に賢治が「自炊農耕生活」を送り、有名な「雨ニモマケズ」の詩を生んだ別宅(仕事場)「羅須地人協会」が移築されている花巻農業高校へ。建物の入り口の

宮沢賢治記念館で

「宮沢賢治記念館で」

黒板には「下ノ畑二居リマス 賢治」と書かれていて、賢治の存在が身近に感じられました。
 
そして、賢治が「イギリス海岸」と名づけた北上川の河畔に立った私たちが目にしたのは、水量豊かにとうとうと流れる北上川の向こうに、真っ青に澄み切った冬空
を背景に浮かんだ白銀に輝く早池峰山の神々しい姿でした。たぶん生涯の思い出になるだろうすばらしい景色でした。
 
話が前後しますが、今回のお宿は、混浴露天風呂で知られる大沢温泉「山水閣」。湯治場の雰囲気を残す落ち着いたお宿でした。お湯は肌がツルツルに滑らかになるアルカリ泉「美人(になる)湯」でしたので、私は混浴露天風呂と内湯に計4回、せっせと入ってきました(今さら遅いって)。
 
夜の10時ころ、露天風呂でおじさんが話しかけてきました。
「お姐さん、きれいだね」
「ありがとうございます。でも湯気のせいですよ」
「いや、きれいだよ」
「たぶん暗いせいでしょう」
「ほんとにきれいだよ」
「酔っ払ってるせいでしょう」
「そりゃあ、確かだ(大笑)」
こんなやり取りも混浴風呂ならではのお楽しみです。

北上川のほとりで

「北上川のほとりで」


今回の旅行は、愛知から早瀬ゆうさん、新潟から山本由美子さん、仙台から幹事をお願いした小谷理美さんと工藤あいさん、東京から南洋子さんと私という具合に
全国から仲間が集まり、2年半ぶりに楽しい時間を過ごすことができました。でも、お宿でも観光地でもやけに周囲の反応が無かったような・・・。山本さんと私は着物だったし、目立たなかったわけではないと思うのですけど。
 お宿の朝ご飯の時、どこかのおばさんたちが「ほら、性同一性障害の人たち・・・」と話していたので、そういう人たちと思われたのかもしれません。違うんだけどなぁ。そういう同情的な視線って大嫌いなんだけど・・・。まあ、2年半の間に世の中の人たちの受け止め方がソフトになったのだったら、それは良いことなので、あまり気にしないでおきましょう。
 
* * *
新宿花園3番街の老舗女装バー「和」の和ママが、正月明けの営業開始間も無い1月8日の夜、お店で心筋梗塞のため倒れられ急逝されました。享年57歳でした。
1975年の開店以来、ママの人柄を慕う固定客が多く、25周年を迎えた頃、「じゃあ、ママは何歳?」という客の問いに「あ

久しぶりのお風呂ヌード

「久しぶりのお風呂ヌード」

たしは、13歳でこの店に売られてきたのよ」と応えていた和ママの温顔が思い出されます。心からご冥福を祈ります。なお、お店の営業は後継者の方が続けられるそうです。