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【第25回】女友達の結婚披露宴に出席 |
1999. 11
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今、あたしは、ほの暗い電球の明かりに浮かぶ広い露天風呂にたった一人で身を浸しています。すぐ脇の広瀬川の流れは暗闇に沈んでかすかな瀬音だけが聞こえてきます。仙台近郊作並温泉、山の温泉宿の深夜の静寂があたしを包んでいきます。束ね上げた髪が濡れるのもかまわず、お湯の中で身体を延ばします。湯の面に色白の形のよい円錐形が水滴を弾きながら浮かんできます。この数カ月間、天然エストロゲンたっぷりのざくろジュースを飲用して、はっきりと一回り大きくなったあたしの乳房です。都会の喧騒と慌ただしい日々を逃れたくつろぎの時、あたしは心地よいお湯に包まれながら、自分の女装人生についてあれこれ考えていました。
1カ月ほど前、あたしは仲良しの女友達の結婚披露宴に出席しました。お招きの話をいただいた時、思わず「男で出たらいいの?それとも女?」と質問したあたしに、彼女は「いやねぇ、決まってるじゃない。順子ちゃんはあたしの女友達でしょ!
式と披露宴はとてもすてきなものでした。
その日、私は今までの女装修行で身につけたすべてのテクニックを注ぎ込みました。にこやかに振る舞ってましたけども心の奥の緊張は、今まで経験したどんな大舞台よりも強かったと思います。
宴が終わった後、新婦友人席で一緒だった顔見知りの女性が「お茶でも飲みにいきません?」と声をかけてくれました。もう一人、初対面の女性と3人でホテルのラウンジで夕方のお茶会になりました。今日の披露宴の話に始まり、仕事のこと、
少し早く来ればよかったな」と言っている男たちを尻目に脱衣所で身体を拭き、黒のレースのショーツに脚を通し、お宿のピンクの浴衣を羽織ります。さあ、明日家庭のこと、子供のこと、まったく普通の働くミセスの女同士の会話です。それに加わりながら、あたしは「とうとうここまで来られたんだ」という限りない到達感に浸ってました。は、東京に戻って友人の女性主催のホーム・パーティにお呼ばれです。 |
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