【第15回】
お座敷電車乗っ取り作戦
1997. 09
7月の連休に、仲間9人と南三陸の気仙沼へフカヒレや生うにを食べに行ってきまし
「お座敷電車」ってご存じですか?そう内部が畳敷きでカラオケもあって、お酒を飲み
ながら旅行ができる「移動宴会所」です。
1997年7月の上旬の週末あたしたち旅行大好き女装者集団「クラブ・フェイクレディ」
のメンバー8人は、最新鋭お座敷電車「華」に乗ってJR東日本宇都宮線連合主催の
「山形〜仙台・さくらんぼ狩りツアー」に参加してきました。ご一緒したのは、同沿線
にお住まいやお勤めの一般の方々。つまり150名の一般人の中に女装者8名が混じ
っての団体旅行という訳です。
普段ならまだ新宿でボランティア・ホステスしてる3時半に起きて、家を出たのが5時
半。これで朝7時の大宮駅集合にやっと間に合います。添乗のJRの方たちを驚かせ
ながら「お座敷電車」の車中へ。さあ「お座敷電車乗取り作戦」の開始です。
【第1段階 橋頭堡を築く】
あたしたちに割り当てられたのは全6両の内の5号車。幸か不幸か、乗り合わせた
のは大宮の塗装会社の慰安旅行の方々。最初は様子の探りあい。でもじきに「どう
ですか、一杯」から始まって、交互に歌うカラオケがいつしかデュエットになり、白河
の関を越えるころには、もう「動くゲイバー」状態に。
こうしてあたしたちは、たやすく5号車を制圧したので
した。
【第2段階 全体をつかむ】
福島からバスに乗り換えて米沢城などを見て天童温
泉へ。お宿に着いてまずは一風呂。今回はおっぱい
ふっくら娘が少なかったのであまり大騒ぎにならずに
大宴会へ。余興は、各号車代表2名のカラオケ歌合
戦。ここはやっぱり「日本一の偽ママ」フェイクレディの
順子ママの出番。お客さんの年齢層を考えて持ち歌
の中から選んだ曲は美川憲一「さそり座の女」。手な
ずけてある5号車の皆さんに「思い切り盛り上げてね
ぇ」とお願いして舞台へ。歌うにつれて今まで白けて
いた大宴会場が一気に盛り上がり、盛大な手拍子に
合せて歌い終わった時には「アンコール」の声の嵐。
アンコール曲は、沢田研二の「時のすぎゆくままに」。
気持ちよかったわぁ。もう最高!。こうしてあたしたち
「バス・ガイドさんと」
「木登り順子」
はツアー全体をがっちりつかんだのでした。
【第3段階 じっくり浸透する】
翌日は雨模様。でも、さくらんぼ狩りは巨大ビニール
ハウスの中なので大丈夫。
「木の高い所の方が甘いよ」というオジさんの言葉に乗
せられて脚立の一番上へ。
これでも男の子のころは「木登りジュンちゃん」って呼ば
れてたくらいですから、へっちゃらなのよぉ。そこで甘い
さくらんぼを採食してたら、下でオジさん「おお!いい眺
めだ」。あっ、ミニスカートだったの忘れてたわぁ。芭蕉
記念館・仙台青葉城と巡る間に「昨夜の歌よかったよ」
「一緒に写真撮らせて」「わたしたち○号車だから遊び
に来てね」などとお声がかかることしきり。結局、ほとん
どの号車から予約が入りました。
【第4段階 一気に全面展開】
福島から再びお座敷電車へ。まずは作戦会議。大宮ま
での4時間が勝負。メンバーの中から「切り込み隊」を
選抜して他の号車に送り込み、適当に盛り上げたところで順子ママ登場、乾杯して
数曲歌って次の号車へという作戦。4・6・3号車の順で巡って3ステージこなしたら
さすがに疲れて「もういいわよ」と弱音を吐くあたし。
今回の旅行では幹事兼チーママ役のFL仙台小谷理美さんに「順子ママ、ここまで
来たら完全制覇ですよ!」と励まされ、さらに2号車から1号車へ。お座敷電車は目
的地に近づくほど酩酊度が上昇する仕組みなので1号車はもう大変な状況。高橋真
梨子の「桃色吐息」を歌うあたしの脇で理美ちゃんが踊りながら脱ぎはじめ裕乃妃ち
ゃんと絡んでる。それを見て興奮したオジさんが福沢先生を挟んだ割箸をあたしのお
っぱいの谷間に差し込んでくれました。こうなったらしかたない。「もう1曲、奥村チヨ
『恋の奴隷』行きま〜す!」。こうしてあたしたちの「お座敷列車乗取り作戦」は完全
に成功したのでした。
旅行ご一緒した皆様、ほんとうにお騒がせしました。感謝、感謝です。JR東日本さん
の担当幹事さんからは「来年もぜひ!」と言われました。機会が有りましたら、またよ
ろしくお願いします。
話変わって、お店情報をひとつ。1997年7月7日、七夕の日、あたしの大阪の妹分北
野洋子嬢がママをつとめるスナック「贋作淑女」がオープンしました。名前の通り模擬
店「フェイクレディ」の姉妹店ですけども、こちらは立派な常設店です。東京の大ママ
(順子)は、年に2〜3回しか出勤しませんけども、なにとぞよろしくごひいきにお願い
いたしま〜す(注 「贋作淑女」は1999年4月11日をもちまして閉店いたしました)。