日本女装昔話 番外編
【第3回】泡姫は男の子! 日本最初のニューハーフ・ソープ嬢 (1981年)
「ニューハーフ・ソープ嬢」と題しましたが、実はまだ「ニューハーフ」という言葉も「ソープランド」という言葉も無く、それぞれ「ゲイボーイ」「トルコ風呂」と呼ばれていた20年前のお話です。
 
当時「トルコ風呂」のメッカとして知らない男性はいない名声?と繁栄を誇っていた滋賀県雄琴温泉に「男性トルコ嬢」が出現し、並大抵のサービスでは驚かない常連客の間で大いに話題になりました。

話題の主は、雄琴温泉「トルコ江戸城」に勤務する綾姫さん(21)。トルコ嬢歴まだ3カ月、店の制服のチャイナドレス姿も初々しく、身長160cm、体重45kgのスレンダーな身体でありながら、B81W59H82というなかなかのプロポーション、小ぶりだがきれいにふくらんだ乳房は女性ホルモン注射の成果、表情もしぐさも語り口も見事な女ぶりなのです。
 
とは言え、彼女の戸籍は男性。山梨県で5人兄弟の次男として生まれ、中学までは陸上部で活躍した普通の男の子、卒業後は大工を目指して技術専門学校へ進みました。ところが、18歳の時、母親が入院していた病院で知り合った年下のゲイの高校生におフェラされたのがきっかけで心の中の「女」が目覚めてしまいます。
 
家出して京都祇園のスナックで女性に混じってホステス修行。そこの常連客の男性に言い寄られて半ば強引に「処女」喪失。そして性転換手術の費用を貯める目的で雄琴の「トルコ嬢」になったという訳です。
 
当然のことながら、彼女、トルコ嬢の仕事はすべてこなします。「ローション洗い」(ローションを全身に塗ったト
ルコ嬢がボディを使って洗ってくれる)の時に発揮する舌技はなかなかの評判だし、もちろん「本番」もOK(入れる場所が少し違うようですけど)。彼女を雇った「江戸城」の鈴木社長も「ホンモノのトルコ嬢より、ずっと女らしい子」、「テクニックもどこをどう攻めれば男が気持ちよくなるか、それが経験でわかっているから、これはもうバツグン」と手放しでほめちぎってます。
 
彼女は平均一日4人のお客を取る売れっ子。「ノンケの男が好き」、「わたしは女になっているつもりだし、女になりきりたいんだから」と言う彼女には、ノンケ男相手の「トルコ嬢」の仕事は合っていたのでしょう。
 
今から6年ほど前、写真週刊誌が岐阜の金津園「ホワイトハウス」勤務の白石敬子さん(23)を「ニューハーフ・ソープ嬢、第一号」と紹介しまし(『FRIDAY』1995年6月30日号)。しかし、本当の第一号は、その15年前にすでに出現していたのです。
 
現在ならニューハーフのソープ嬢と言っても驚くほどのことではないかもしれません。しかし、20年前は違います。衝撃的な出来事でした。そうした意味で、綾姫さんはニューハーフの風俗業界進出のパイオニアの一人と言えるし、また彼女を雇った社長の先見の明にも敬意を表したいと思います。
 
あれから20年、綾姫さんがどこかで幸せなオバさんになっていればいいなと思います。
 
参考資料 『アサヒ芸能』1981年2月5日号
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「資料3-1」
資料3-1  日本初のゲイボーイ「トルコ嬢」 雄琴温泉「トルコ江戸城」の綾姫嬢
(『アサヒ芸能』1981年2月5日号)