創りあげたイメージを印画紙の上に固定するため、あるいは、流れゆく時間、移ろいゆく姿を永遠に留めるため、そして、1枚の写真から過ぎ去ってしまったなつかしい時を振り返り、思い出にひたるため。
ともかく、写真好きの私は、本格的に女装修行を始めた1990年以来、自分の姿を写真に撮り続けてきました。正確に数えたわけではありませんが、たぶんフィルムのコマ数にして7000とか8000とかになるのではないでしょうか。プロのモデルさんには及びませんが、一般の方に比べれば、たぶん桁違いの数で、それだけ写真への思い入れも深いものがあります。
ただ、自分の写真、とりわけナルシシズムの入った若い頃の写真を公開することは、かなり照れくさいものがあります。このサイトをオープンした時から「思い出写真館」というコーナーを設けながら、なかなか中身が入らなかったのは、そんな思いからでした。
今回、「競技女装」(女装者のミスコン)に熱中していた1990年代前半の写真を含めて公開する気になったのは、あれから10年の歳月がたち、あと一歩のところでオールジャパン(全日本女装写真コンテスト)のグランプリを取り逃がした悔しさも薄れ、「もうこんな写真を撮ることは二度とないだろうな」と思った時、過ぎ去った時代への懐かしさを覚えはじめたからでした。
それだけ私が歳をとったからなのでしょうが、ようやくその時代が私にとって「思い出」になってきたということでしょう。
ということで、膨大なプリントの中から厳選した写真を、いくつかのテーマに分けて、少しずつ公開していこうと思います。単純に眺めて楽しんでいただいても結構ですし、解説を読んでいただきながら、1人の女装者が「なりたい女」を目指して成長していった10年間の軌跡を読み取っていただけたら、なおさらうれしく思います。
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