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2001年5月20日(日) 三松・京都「しょうざん」展示会


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日(土)、朝5時に起きて支度をして新横浜駅へ。
8時の「のぞみ」に無事乗車。
着物は、白地に黒の毘舎門亀甲ぼかしの訪問着。
予想気温25度ということなので、長襦袢も着物も、思い切って単衣にしました。
帯はいぶし金地に唐草模様。帯揚と帯締は緑で統一しました。
 
10時過ぎに京都駅着。「美術館『えき』KYOTO」で、招待券をいただいていた森村泰昌写真展「女優家Mの物語」を見学。
女優の姿を演じる現代美術の旗手である「女優家」森村さんと、ただのオバさんを目指してる「女装家」の私とでは、「美」という点では、文字どおり、女優と普通のオバさんくらいの落差はあるのですけども、変身の手法という点では、いろいろ共通点があって参考になります。
  
地下鉄を乗り継いで、蹴上の「都ホテル」へ。
いつもは河原町三条のビジネスホテルが定宿なんですけど、今回は「訳アリ」なので一流ホテルにお泊なのです。
まだチェックイン時間前だったので
荷物だけを預けて、コーヒーとケーキで休憩
外に出てみると、抜けるような青空。研究会の時間まで少し余裕があるので、タクシーに乗らず、散歩がてらちょっと歩いてみることにしました。
  
粟田口を下って、平安神宮の参道を北へ曲がり、神宮は遥拝だけして、琵琶湖疎水に沿って西へ。
野点のお席で
適当な所でタクシーを拾おうと思ったのだけど、疎水沿いの道が気持ち良くて東大路まで出てしまいました。
ここまで来たら、タクシーに乗るのもバカらしくなり、結局、川端近衛東入ルの「京大会館」まで、約40分歩き通してしまいました(ああ、また草履の裏が減る!)。
  
13時から、井上章一先生(国際日本文化研究センター)主催の「性慾研究会」に出席。
17時に研究会終了後、先斗町の奥の奥みたいな所にある京家庭料理のお店に連れていっていただきました。その後、21時から、この日『家庭画報』の「お住まい紹介」の取材が来ていた関西大学の古川先生の新居を見せていただいて、しばらく雑談を楽しんだ後、23時過ぎにホテルへ戻りました。
 
部屋に案内されてびっくり。別棟のしかも和室!。脱いだ着物を衣架にかけながら「日本の女」を実感。
でも、次の間付きの広いお部屋にお布団が一つ、独り寝はちょっと寂しい。着物の似合うすてきなお姐さんが一緒だったらなぁ。
  
  
20日(日)の朝、京都東山(蹴上)都ホテル別館、和室で目を覚ましました。
時計を見ると、まだ5時半。
ずっと寝不足なのになぜ?。
やっぱり緊張してるのでしょうか。
迎えは9時半の約束だけど、ボーッとしてるとまた寝てしまいそうなので、支度を始めました。
考えて見たら、和室で着付をするのは、自分で着られるようになって初めて。
なんとなく気持ちが乗る感じです。
 
8時に荷物を持ってロビーに出てみると、すでに「きものの三松」池袋店の店長さんや私の担当のTさんとIさん(2人)が待ち構えていました。そう、今日は「きものの三松」創業70周年記念京都大展示会なのです。
 
2週間ほど前、出来上がっていた着物を受け取りに行った時、担当さんとの雑談の中で「来週末は、仕事で京都なの」と言ってしまったのが運の尽き。
「えっ!ウチはその日、京都で大展示会なのです。
まあ、何という偶然!、ぜひぜひお出かけください!」という成り行きになってしまったのです。
展示会に行けば、どうなるか、着物屋さんとそれなりに長い付き合いの私には、よくわかります。
過去、6回ほど展示会に呼ばれて「無傷」で脱出できたのは2回だけ(それでもたいした度胸でしょう)、後の4回は「大出血」でした。
今回は、しかも京都までの片道の旅費+高級ホテル和室宿泊+お食事2回付(朝・昼)なので、「無傷」脱出は無理と初めから覚悟しなければなりません。
そこまで解っていながら、なぜ展示会へ?と思われるでしょうけど、それは、浮世の義理に加えて、やっぱり「着物で京都」の魅力なのです。
 
朝食を食べて、9時半、私たちお客と大型バス5台で洛北鷹ケ峰のイベント会場「しょうざん」へ。
しょうざん亭で
しょうざん亭で
しょうざん亭で
「お客の数は約150人、ひとり平均40万の売上げとして、日商6000万、う〜ん、豪勢だわぁ」などと計算してしまいます。
その中に自分も入ってるのに・・・。
 
それから後、4時間のことは、あまり書きたくありません。
7万円の涼しげな水色の帯だけで脱出を試みたのですけど、支店No1のベテラン&期待の若手の担当さんコンビがそんなことで私を逃がすはずがないのです。私の好みを精通している2人は、喉から手が出るほど欲しいような物を巧みに目の前に並べていきます。
新緑が目に眩しい
新緑が目に眩しい
「この生紬、お好きでしょう。大急ぎで単衣にお仕立てしますから」。
こうなると「物欲大将」の前に張った防衛陣地はもう総崩れ。
結局、覚悟していた「出血」を上回る血ダルマ状態となってしまいました。
 
14時、逆さに振っても鼻血もでない虚脱状態でタクシーチケットをもらって京都駅へ。
タクシーの中で、ますます悪化した多重債務状態を考えて、頭が痛くなりました。いくら考えても事態は好転しないので忘れることにしましょう。
高名な「浪費家」中村うさぎさん(作家・エッセースト)の気持ちがよくわかります。
 
15時から、京都駅前の「キャンパスプラザ」で「女優家」の森村泰昌さんの講演会に出席。
ゲストは哲学者の山折哲雄氏。
会場は若い女性(女子大生?)でほぼ満員。
現代美術の旗手「女優家」森村泰昌さんと、しがない「女装家」の私とでは、文字どおりトップ女優とただのオバさんくらいのレベル差があるのですけど、講演を聞
きに来る人が圧倒的に女性多数なのは共通する現象のようです。

講演会終了後、森村さんにご挨拶して、18時の「のぞみ」に乗車して帰京。
う〜ん、なんて高い京都旅行だったのでしょう・・・。